こんにちは。先端技術チームの毛利です。
2025年6月3日(火)、東京・日本橋のX-NIHONBASHI TOWERにて『SPACE DAY 2025 〜日本の宇宙ビジネスとクラウドの最前線〜』を開催しました。当日の様子をレポートいたします。
SPACE DAYとは?
『SPACE DAY』は、当社が主催し、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社さまのご協力のもと開催しているイベントで、昨年に続き、今回で2回目の開催となりました。日本における宇宙産業の拡大を支援すべく、パートナー企業の皆さまと共に、宇宙ビジネスの最新動向や宇宙・衛星事業におけるクラウド開発技術についての情報共有、意見交換、ネットワーキングの場をご提供しています。今年は、宇宙×クラウドに加え、生成AI、サイバーセキュリティ、国際連携など多岐にわたるテーマを扱い、各分野の第一線で活躍する登壇者の皆さまにご講演いただきました。多様な視点から、宇宙産業の可能性を探る機会となりました。
オープニングセッション
株式会社Fusic 事業推進部門 エバンジェリスト 室井 慎太郎
イベント冒頭では、当社エバンジェリストの室井より、Fusicの事業紹介とともに、「Aerospace RAG」や「Atmosphere」など宇宙領域への取り組みをご紹介しました。AWSにおける高い技術力や、多様な技術を組み合わせる技術結合力、そして豊富な新規事業の支援実績を活かし、Fusicが宇宙産業と社会ニーズをつなぐ存在であることをお伝えしました。また、当日発表された新ブランドスローガン「OSEKKAI × TECHNOLOGY」についてもご紹介しました。
AWSセッション
AWS Aerospace & Satellite Japan Lead 永野 嗣人 様
永野様には、AWSの特長や宇宙領域への展開、そして生成AIの宇宙ビジネスへの活用についてお話しいただきました。Ground Stationやエッジコンピューティングの実例を交え、宇宙空間におけるクラウド技術の利活用がすでに現実となっていることが示され、今後のビジネス展開に向けた示唆に富むセッションとなりました。
基調講演「宇宙にばらまかれるクラウド − 衛星が透明化し、シェアされ、使い倒される時代へ」
東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 特任准教授 宮下 直己 様
基調講演では、2030年を見据えた宇宙産業の展望について、宮下様よりご講演いただきました。人工衛星の進化を「PCの民主化」や「インターネットの普及」と重ね、今後は衛星群がクラウドのように使われる時代が訪れる可能性について語られました。多様なプレイヤーが参加し、誰もが宇宙を活用できる未来へ向けた構想に、多くの参加者が強く惹きつけられました。
「宇宙産業のビッグデータを開放する − LLM × Document AIで実現する文書データ価値の最大化」
Upstage AI株式会社 代表取締役 カントリーマネージャー 松下 紘之 様
松下様からは、LLMおよびDocument AIを活用した文書データの利活用についてご講演いただきました。PDFや画像などの非構造データを高品質な構造化データに変換し、「LLM Ready」にするアプローチは、膨大な技術文書を資産へと昇華する可能性を感じさせる内容でした。
「御社事業の次なる飛躍は宇宙から」
Axiom Space, Inc. Japan Country Manager & Strategic Advisor for Asia 田口 優介 様
田口様からは、宇宙ステーション事業や軌道上データセンター、次世代宇宙服など、Axiom Space社の多彩な取り組みをご紹介いただきました。国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングによる商業宇宙ステーションの構築など、宇宙空間におけるインフラ整備の最前線について、具体的な事例とともに共有いただきました。
「宇宙業界における国連宇宙部の役割とは?」
国連宇宙部 UN-SPIDER プログラム アソシエートエキスパート 高見 純平 様
高見様からは、災害対応や宇宙安全保障、国際的なルール形成に関する国連宇宙部の活動についてご紹介いただきました。日本企業との連携事例や、国際的な共創による宇宙開発の推進など、グローバルな視点から宇宙産業の意義を再確認するセッションとなりました。
「衛星開発・製造・運用・利用におけるソフトウェア指向の実践」
株式会社アークエッジ・スペース 共同創業者 鈴本 透 様
鈴本様には、「ふつうの」ITエンジニアが宇宙開発に関われるようにすることの重要性を軸に、ソフトウェア指向を取り入れた組織体制や開発文化についてお話しいただきました。Web企業的な開発手法や文化の実践例が紹介され、参加者からも高い関心が寄せられました。
「QPS研究所のクラウド開発・運用の経験」
株式会社QPS研究所 開発部 ソリューション開発課 課長 田中 周一 様
田中様からは、SAR衛星の開発・運用におけるクラウド活用や自動化の取り組みについてご紹介いただきました。AWSの導入によって運用効率化やコスト削減を実現したプロセスは、まさに「クラウド×宇宙」の実践事例として多くの示唆を与えるものでした。
「宇宙 × サイバーセキュリティ − 軌道上サービスからのアプローチ」
株式会社アストロスケール MD Office / Cyber Security Manager 八木 晴信 様
八木様からは、宇宙ビジネスにおけるサイバーセキュリティの課題と対応策について講演いただきました。具体的な脅威の例や、必要なセキュリティ対策、関連ガイドラインの解説を通じて、宇宙開発においても高いレベルのセキュリティ対策が求められることを改めて実感するセッションとなりました。
パネルディスカッション
最後には、登壇者によるパネルディスカッションを実施し、採用・技術開発・生成AIの活用など多岐にわたるテーマで意見交換が行われました。
宇宙産業という共通のテーマを軸に、業種や立場を超えた対話が生まれ、参加者にとっても多くの気づきや刺激のある時間となりました。
イベント終了後には登壇者・参加者による懇親会も行われ、活発な交流とネットワーキングの場となりました。盛り上がりすぎて名刺ではなくLINEを交換している方々も(笑)
今後もFusicは、宇宙産業に関する取り組みをさらに推進し、テクノロジーを通じて宇宙をより身近な存在にしていくことを目指してまいります。