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Google Cloud Next Tokyo '26 参加レポート

2026.08.12

イベントレポート

こんにちは、クラウドエンジニアリング部門の阿河です!


7/30(木)、31(金)に東京ビッグサイトで開催された Google Cloud Next Tokyo '26に、2日間を通して参加してきました。 


実は3ヶ月前にラスベガスの本家Google Cloud Nextにも行ってきたのですが、そこで「これからの設計思想」として語られていた話が、具体的な各社の取り組みとして具現化されていて、この分野の速さを改めて実感しました。 


本記事では、Google Cloud Next Tokyo '26で見えた「エージェント時代の現在地とこれから」を、参加者目線でお伝えします!



Google Cloud Next Tokyo とは?


Google Cloud Next は、Google Cloud が主催する年次の技術カンファレンスです。米国で開催される本家「Google Cloud Next」に対し、その日本版として開かれるのが「Google Cloud Next Tokyo」。最新の製品発表やアップデートだけでなく、錚々たる企業のリアルな活用事例まで、200を超えるセッションが2日間にわたって発表されます。 


今年のイベントで一貫して語られていたのは、AIエージェントでした。ただ印象的だったのは、それが"技術トレンド"としてではなく、各社が抱える具体的な課題への"解"として語られていたことです。会場に並んでいたのは、実際の業務にエージェントを組み込み、日々動かしている企業の事例ばかり。「AIで何ができるか」を確かめる場から、「AIを自分たちの業務にどう組み込み、どう回すか」を持ち帰る場へと、そのフェーズの変化がはっきりと伝わってきました。 


こうした実装を、インフラからモデル、データ、セキュリティまで自社で一貫して揃えているのが Google Cloudの強みでした。エージェントを「作って終わり」にせず、運用・ガバナンスまで地続きで支える設計思想が、随所に表れていたように思います。 


参考:https://www.googlecloudevents.com/next-tokyo/ 



業界の関心は「作る」から「運用する」へ

2日間を通していちばん強く感じたのは、AIエージェントへの関心が、明確に一段先へ進んでいたことです。少し前までの主題は「エージェントをどう作るか」でした。ですが今、重心は「本番の業務でどう運用するか、組織としてどう受け止めるか」に移っています。 


動くものは数時間あれば作れる。けれど、それを日々の業務に乗せ、安定して運用し続けるのはまったく別の話です。「作れる」から「運用する」へ。登壇した各社が向き合っていたのは、まさにこの差分でした。

印象的だったのは、成果を出している企業が、ただ「ツールを導入した」のではなく、「自分たちの業務にどう組み込むかを設計した」こと。エージェントではなく、自社の課題を起点にしていました。 


「今ある処理をAIで自動化できないか?」ではなく、「今ある課題をAIで解決できないか?」へ。 


もう一つ、象徴的だったことがあります。こうしたエージェントを作っているのが、必ずしもエンジニアではないことです。ノーコードで業務エージェントを組める環境が整い、業務を毎日触っている人ほど、目の前の課題に対して具体的な答えを持っている。問いを立てる主体が、技術部門の外へと広がっていました。この変化は、もはや一部の先進企業の話ではなく、業界全体で起きている転換なのだと理解しました。 



セキュリティは「マシンスピード」の時代に

もう一つ、強い危機感とともに語られていたのがセキュリティです。背景にあるのは、攻撃のスピードそのものの変化でした。脆弱性が見つかってから悪用されるまでの時間は、かつての年単位から、いまや日単位にまで縮んでいます。「パッチを当てる頃には、攻撃はもう終わっている」 。すでに、そんな時間軸に到達しているという話です。 


このスピードに、人間中心のセキュリティ運用が追いつくのは、構造的に難しい。そこで語られていた防御側の考え方は、大きく3つに整理できました。 


1つ目は、自社の「コンテキスト」で優位を取ること。攻撃者は外から環境を覗くだけですが、内側の構造・業務の文脈や「いつもの正常な状態」を知っているのは、守る側だけです。この情報の非対称性こそが、防御側にとって決定的な武器になります。 


2つ目は、AIのスピードにはAIで応えること。秒単位で動く攻撃に対しては、守る側もエージェントの力を借りるしかない。


そして3つ目が、最も本質的でした。インシデントは起こる前提で、回復力に投資すること。「侵入されないこと」を目指す時代から、「侵入された後、いかに速く立て直すか」で勝負する時代への転換です。これはツール選定以前の、思考の前提そのものを問い直す話でした。そしてこれは、セキュリティ部門だけの話ではありません。エージェントを業務に組み込むすべての組織にとって、避けて通れない問いになっています。 



現場が主役になる - 公共・研究分野の実装 

ここまでの「作る→運用する」「問いの立て替え」という視点は、企業に限った話ではありません。私が現地で聴講したなかでも、公共分野や研究開発の現場での取り組みが強く印象に残りました。 



行政現場 - ノーコードが「業務改善の主役」を変えた 

ある行政組織の事例で印象的だったのは、AI導入が「ツールを配って終わり」ではなかったことです。語られていたのは、足元の業務課題を一つずつ可視化し、そこにピンポイントで手を打っていくという、きわめて実務的なアプローチでした。なかでも象徴的だったのが、ITの専門家ではない職員が、自分の業務に必要なアプリを自分で作ってしまうという光景です。自然言語で相談するだけでツールが組める環境が整ったことで、業務改善の担い手が情報システム部門の外へと大きく広がっていました。予算や人材の制約が厳しい公共分野において、「現場が、自分の困りごとを自分で解く」というかたちが回り始めている。これは民間企業で見た構造と、まったく同じものでした。 



研究開発 - 関心が「答え」から「問い」へ移っていた 

もう一つ、研究開発分野の事例が示していたのは、より本質的な変化でした。ある研究組織では、実験や解析のプロセスを徹底的に高速化・自動化した結果、思いがけない新しいボトルネックに直面したといいます。それは「速すぎる実験ラインを埋めるだけの、価値ある仮説が追いつかない」という課題でした。 


AIが処理を肩代わりしてくれるようになったからこそ、人間に残された仕事は、「何を検証すべきか」「どの問いに投資する価値があるか」を見極めることに移っていく。効率化のその先で、組織の競争力を決めるのは、答えを出す速さではなく、良い問いを立てる力なのだと。示唆に富む事例でした。 



さいごに ── 「作る」の先で、私たちにできること 


2日間を通して感じたのは、AIエージェントをめぐる議論が「どう作るか」という技術論を越えて、「組織としてどう受け止め、どう運用し、どう守るか」という、より経営や業務そのものに近い問いへ移っている、ということでした。 


だからこそ私たちも、技術を「作る」ことの手前にある課題そのものに、一緒に向き合うことを大切にしていきたいと考えています。「何を自動化するか」ではなく「どんな課題を解くか」から出発する。そうしたビジネスと技術を地続きで語れる提案のかたちを、これから磨いていきたいと思います。 


その上で、大切にしたいことが2つあります。ひとつは、AI時代の伴走です。エージェントは、作るだけなら驚くほど手軽になりました。けれど本当に難しいのは、それを日々の業務に根づかせ、安定して回し続けること。導入して終わりではなく、業務への組み込みから運用の定着まで、隣で一緒に走れるパートナーでありたいと思います。


もうひとつは、AI時代のセキュリティです。攻撃も防御もマシンスピードで動く時代に、「安全にどう守るか」は、もはや導入の後で考えることではなくなりました。作る・運用するのと同じ地平で、守り方まで含めて一緒に考えていく。それがこれからの前提だと感じています。 

AIをめぐる動きは、本当に速い1年でした。私たちもしっかりキャッチアップしながら、お客さまと一緒に向き合っていきたいと思います。気になるテーマがあれば、ぜひお気軽にお声がけください。 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!