こんにちは、技術コミュニティ統括室の清家です!
8月22日(土)、シンガポールで開催された「AWS Community Day Singapore 2026」に、スピーカーとして参加してきました。
この記事では、登壇までの準備や当日の様子、そして現地で得たものを振り返ります。
技術的な話にも少し触れますが、何よりお伝えしたいのは、シンガポールで出会った人たちのことです。
AWS Community Day Singapore とは?
AWS Community Day は、世界各地の AWS ユーザーグループが主催する、コミュニティ主導の技術カンファレンスです。 AWS主催ではなく、各地域のコミュニティが主体となって企画・運営する技術カンファレンスで、地域のコミュニティメンバーが中心となって担っています。
今回の「AWS Community Day Singapore 2026」は、AWS User Group Singapore の主催でした。
今回の「AWS Community Day Singapore 2026」は、AWS User Group Singapore の主催でした。
• 開催日: 8月22日(土) 9:00〜17:30
• 会場: Level 5, East Tower, 2 Central Boulevard, IOI Central Boulevard Towers, Singapore
当日は、5つのトラック/プログラムが並行して実施されました。
• Track 1 — AI Engineering
• Track 2 — Cloud Platform, Security & Operations
• Builder Card
• Kiro Workshop
• Amazon Quick Workshop
オープニングは AWS Singapore のマネージングディレクターである Priscilla Chong さんと、運営であり、AWS Heroの Steve Teo さん。
会場は AWS のシンガポールオフィスで、マリーナベイを見下ろす高層ビルの一角でした。
会場は AWS のシンガポールオフィスで、マリーナベイを見下ろす高層ビルの一角でした。
オープニングでは、スピーカーを一人ずつ名前で紹介してもらいました。準備期間のやりとりからずっと感じていたことですが、シンガポールのコミュニティはスピーカーをとても大切にしてくれます。
英語で30分話すために、日本でやったこと
私が話すことになったのは Track 2(会場では "Cloud Track" と呼ばれていました)の30分枠。タイトルは "Seeing Through Serverless: Observability for AWS Lambda with ADOT and CloudWatch Application Signals" です。
技術的な内容は実務で積み上げてきたものなので、話すこと自体に不安はありませんでした。問題は英語です。
実は私は海外登壇としては3回目で、以前から課題だと感じていたのが、英単語を「読めるけれど、発音できない」ことでした。
そこで、macOS の say コマンドで原稿の読み上げ音声を作成し、それに合わせて何度も通し練習しました。
自分の声で録音して聞き返すより、正しい発音を聞きながら追いかける方が効率が良かったです。
技術的な内容は実務で積み上げてきたものなので、話すこと自体に不安はありませんでした。問題は英語です。
実は私は海外登壇としては3回目で、以前から課題だと感じていたのが、英単語を「読めるけれど、発音できない」ことでした。
そこで、macOS の say コマンドで原稿の読み上げ音声を作成し、それに合わせて何度も通し練習しました。
自分の声で録音して聞き返すより、正しい発音を聞きながら追いかける方が効率が良かったです。
前日
前日の8月21日(金)は、海外事業を担当しているFusicの営業メンバーと日程を合わせ、現地のお客様を一緒に訪問していました。
訪問を終えた夕方には、本番前日のスピーカー向け tech check が予定されていました。会場となる AWS オフィスで、実際にスライドが投影できるかを確認するための時間です。
ところがその日打ち合わせが長引いてしまい、私は遅刻することになりました。
訪問を終えた夕方には、本番前日のスピーカー向け tech check が予定されていました。会場となる AWS オフィスで、実際にスライドが投影できるかを確認するための時間です。
ところがその日打ち合わせが長引いてしまい、私は遅刻することになりました。
タクシーの中から、遅れる旨をスピーカーのグループチャットに伝えましたが、会場が入っているビルはセキュリティが厳しく、少し不安に思っておりました。
でも韓国から来ていたスピーカーの TaeSeong Park さんが、「一緒に行こうよ」と当たり前のような顔で待っていてくれました。
TaeSeongさんは、その後もずっと英語で話しかけてくれました。海外登壇は3回目とはいえ、緊張も不安もあったので、本当に心強かったです。
でも韓国から来ていたスピーカーの TaeSeong Park さんが、「一緒に行こうよ」と当たり前のような顔で待っていてくれました。
TaeSeongさんは、その後もずっと英語で話しかけてくれました。海外登壇は3回目とはいえ、緊張も不安もあったので、本当に心強かったです。
Jeff Moss の 基調講演
当日の午前、10時30分から基調講演がありました。
タイトルは "Three Decades of Hacker Community So Far"。
登壇者は Jeff Moss さん。DEF CON と Black Hat の創設者です。
結論から言うと、この40分だけでもシンガポールに来た価値がありました。
私に強く残ったのは、セキュリティ技術そのものよりも、コミュニティについての話でした。 30年間コミュニティを作り続けてきた人が、その間に何を考えてきたかという話です。
印象に残った論点をいくつか挙げます。
結論から言うと、この40分だけでもシンガポールに来た価値がありました。
私に強く残ったのは、セキュリティ技術そのものよりも、コミュニティについての話でした。 30年間コミュニティを作り続けてきた人が、その間に何を考えてきたかという話です。
印象に残った論点をいくつか挙げます。
• モデレーションは避けて通れない。
コミュニティが大きくなれば、必ず線を引く仕事が発生する。それを設計せずに始めると壊れる。
• 人が集まるのは「本物らしさ(authenticity)」があるから。
取り繕った場に人は残らない。
• カンファレンスは情報ではなく体験として求められている。
情報だけなら家で読める。
• 失敗談こそ最高のコンテンツである。
そして、いちばん刺さったのがこの言葉でした。
昔は良かったって言われるけど、今は今。
欲しい未来は自分たちで作るしかない。
俺があなたのために作るんじゃない。
(※清家による要約・意訳です。)
私は今年3月、JAWS DAYS 2026 の実行委員長を務めました。
だからこそ、この言葉は理解できるし、改めて言語化されたと思いました。
コミュニティは、誰かが用意してくれるサービスではない。
欲しいと思った人が作るしかない。
当たり前のことなのですが、30年やってきた人が言うと重みが違います。
技術コミュニティ統括室長として、コミュニティを支える側のあり方を改めて考えさせられました。
本番 — Seeing Through Serverless
会場に着いてロビーを歩いていたら、
大きなスクリーンに自分のセッションの告知が流れていました。
今日話す実感が少しだけ湧きました。
会場は Room 05.104。ドアの横のプレートを見て、思わず二度見しました。
Training Himeji-jo
姫路城です。隣の 05.105 は "Shirakawa-go"、白川郷でした。AWS のシンガポールオフィスは、会議室に日本の地名が付いているんですね。
シンガポールの姫路城という名前の部屋で、日本から来た人間が、英語でサーバーレスの話をする。妙な縁を感じながら、13時40分を迎えました。
MC の方の紹介から始まります。
He's going to be talking about how to see through serverless.
話した内容を簡単にまとめます。
サーバーレスは速い。サーバーを管理せず、パッチも当てず、動いた分だけ払えばいい。だから私たちは速く作って、速く出せます。でも本番が壊れたとき、そのシステムはブラックボックスになります。
ちゃんと書くとすごく長くなるので、スライドを Speaker Deck に公開しています。
Seeing Through Serverless: Observability for AWS Lambda with ADOT and CloudWatch Application Signals
フィードバック用のQRコードを案内していたところ、一人の参加者が『紹介していた解決策以外にも、こんな方法がありますよ』と話しかけてくれました。自分にはなかった発想だったので、思わず自然に「Great Idea!」と素直に伝えると、あちらも嬉しそうに握手を交わしました。
こんなフランクなやり取りも海外に来ればこそで、体験として非常に良いです。海外のコミュニティもあったかいなと思いました。
こんなフランクなやり取りも海外に来ればこそで、体験として非常に良いです。海外のコミュニティもあったかいなと思いました。
会場で懇親会を行っていたのですが、ビールがタップで汲める設備があり、ついつい飲みすぎました...
日本のSAPPOROが飲めたので、Singaporeにいながらもついつい飲み慣れたビールに手が進んでしまいました。
その後は運営メンバーのお宅にも招いていただき、交流は続きました。私は疲れもあって途中でしっかり寝落ち。翌日、みんなにからかわれました(笑)
翌日:スピーカーツアー
翌8月23日(日)、運営メンバーが、海外から来たスピーカーのためにシティツアーを企画してくれていました。イベントは前日に終わっています。彼らの休日です。
「みんなが集合しやすいように」という理由で、集合場所をGardens by the Bay にしてくれました。海外から来た私たちでもわかりやすい大きな施設なので助かりました。
海外から来た人間が移動しやすいように、という判断です。
その前夜、イベントが終わった当日の23時半に、運営の方から個別にメッセージが届いていました。
自分たちの大きなイベントを終えて、いちばん疲れているはずの夜中に、翌日のチケットを手配している。そういう人たちでした。
Gardens by the Bay は、運営メンバーの家族や子どもたちも一緒でした。イベントの運営スタッフとスピーカー、という関係ではなく、休日に一緒に出かける友人のような空気です。
AWS User Group Singapore のみなさんは、誰かがコミュニティを用意してくれるのを待っていません。自分たちの手でイベントを立ち上げ、海外から来たスピーカーが困らないように、休日まで使って一緒に街を歩いてくれる。Keynote で聞いた言葉の「実物」が、翌日、目の前にありました。
さいごに
シンガポールから持ち帰ったものは、2つあります。
1つ目は、コミュニティは与えられるものではなく、作るものだという実感です。頭では理解していたつもりでしたが、Jeff Moss さんの言葉と、AWS User Group Singapore のみなさんの振る舞いを続けて受け取ったことで、体感出来ました。
2つ目は、国を越えて、同じ場所に立てるという事実です。日本、韓国、シンガポール、インド。バックグラウンドはバラバラでも、AWS という共通言語があれば同じ場に立てるし、友人になれます。
この記事を読んで、海外のコミュニティイベントに少しでも興味を持った方がいたら、ぜひ一歩踏み出してみてください。思っているより、ずっと開かれた場所です。英語が完璧でなくても、待っていてくれる人がいます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
事業本部 / 技術コミュニティ統括室長 / シニアエバンジェリスト
清家 史郎