株式会社アステックペイント
インタビュイー:
DX本部 本部長 兼 デジタルマーケティング部 部長 猪口 正弘 様
情報システム部 部長補佐 田代 朝子 様
プロジェクト開始当時の状況・課題感
猪口様)弊社は塗料メーカーなのですが、塗装業界の方々の役に立ちたいという思いから、
「現場ポケット(*1)」(https://gempo.info/)といった
建設・塗装業界向けのアプリケーションも提供しています。
業務効率化に貢献する機能のひとつとして、AI・機械学習の技術を活かしたソリューションを提供したいと考えていました。
具体的には、現場写真を自動で判別する機能となります。
塗装の現場では、報告書作成にあたり現場の写真を撮影し、それらに対し、
どれが屋根で、どれが外壁か、どの作業かといったことを目視で判別しています。
写真の枚数は膨大で、かつ判別にあたっては専門的な知見が必要となるため、
高負荷な作業です。この作業を機械学習によって自動化できないかと考えていました。
弊社は直販型の塗料メーカーであるため、現場の方々のお声を聞ける機会も多く、
塗装業界の課題を解決したいと常々考えています。
なかなかニッチな世界かもしれませんが、
だからこそ弊社アステックペイントにしかできないことだと思っています。
(*1)現場ポケットのAI機能は現在計画段階です。
現場ポケットへの実装については、適宜(株)アステックペイントのHP等でご確認ください。
Fusicを選定した理由
田代様)弊社では、この機械学習プロジェクト以外にも、他の開発プロジェクトも動いており、
実はFusicさんには最初、機械学習ではなくWebアプリケーションの案件でお声がけをしたんです。
その際にいただいた会社資料を見て、「機械学習もやっているんだ!」と知り、
機械学習プロジェクトのご提案もお願いしました。
猪口様)比較検討のためにいくつかの会社さんにお声がけをしたのですが、
1番踏み込んだ提案をしてくださったのがFusicさんでしたね。
弊社の説明待ちではなく、やりたいことを汲み取って、前のめりに提案してくださる様子を見て、
プロジェクトのパートナーとして信頼できると感じました。
安河内)はじめてお打ち合わせをさせていただいたとき、
アステックペイントさまが、「塗装業界のテクノロジー企業を目指していきたい」とおっしゃられていたことが非常に印象深く、
わたしたちとしてもぜひご一緒したいと考えていました。
だからこそ提案時点でも、アステックペイントさまが実現されたい世界に寄り添うことを意識していました。
その気持ちが届いていたということを知り、とても嬉しいですね。
実際のプロジェクトの進行
調査検証を進めながら、細かくやり取りや報告会を実施しましたね。
機械学習においては、画像等のデータにタグやメタデータ等の情報を付けていく作業を指す。
技術の社会実装
田代様)サンプル画像を頑張って準備しようと思ったきっかけのエピソードがあるんですよ。
サンプル画像がまだ少なかったころ、
テオドルさんが自分で町に出て写真を撮りに行ってくれていたんです!
あの時は驚きましたね。
テオドル)もちろんサンプル数を増やしたかったというのもありますが、
実際の現場を見るという目的も大きかったんですよ。
「現場ポケット」のユーザーの皆さんがこの機能を実際に使うときのことを想像しながら、
町を歩いていました。
ハン)アステックペイントさんは「塗装業界を変える」
「現場をもっと便利にするソリューションを提供する」というミッションを
常々共有してくださり、それは僕らにとっても大切な指針になりました。
Fusicでもそのことについてたくさん話し合って、
自分自身が塗装業界を変えてみせるという気概で向き合っていました。
例えば、今あるサンプル画像をそのまま使えば良い検証結果が出ることが分かっていても、
実現場での利用を見越して、新しい画像を使ってみよう、と判断するなどですね。
目先のプロジェクト報告のためではなく、その先の現場のことを常に考えていました。
猪口様)塗装業界を変えるという確固たるミッションがあり、
そのためのプロダクトがあり、そこに技術を実装していく、
わたしたちが何より大切にしていることですね。
大げさなことではなくて、ただただ、現場の職人さんたちが少しでも早く家に帰れるようにしてあげたいだけなんですよ。
お昼は現場で作業してヘトヘトなのに、
それから事務所に戻って夜遅くまでパソコンで写真の分類をするなんて辛いじゃないですか。
それがこの機能によってパっと終わったら、すぐに家に帰れて、
家族と過ごしたり、ゆっくり体を休めたり、そういう幸せな時間を増やせるかもしれない。
そうやって環境が良くなれば、新しい人材も増えて、人材不足も解消されるかもしれない。
そんな世界を実現するためにこのプロジェクトに向き合っています。
プロジェクトの成果・今後の展望
猪口様)このプロジェクトの開始前は、
社内の認識も「AIって結局どうなの? 実現できるものなの?」という状況でしたが、
今回のPoCのおかげで、ぐっと現実味を帯び、
弊社代表やメンバーからも高い評価を受けています。それもPoCの精度が高いからこそです。
今はあくまでPoCが一段落したタイミングであり、
まだ「現場ポケット」のプロダクト自体には反映されていません。
プロダクトへの実装、そしてユーザーの皆さんに使ってもらうことを何より実現していきたいです。
また、機械学習が利用できるシーンはほかにもたくさんあるので、
そういったところへの横展開もしていきたいですね。
直近の展望でいうと、画像判別の機能がプロダクトに実装されたら、
ユーザーである職人さんたちを呼んで実際に使ってもらい、
ディスカッションをしてみたいですね。
何より生の声が貴重なので。
安河内)塗料を直販していて、現場と強いつながりがあるアステックペイントさんだからこそできることですね。
猪口様)はい。
今回のプロジェクトを通し、Fusicさんのような福岡のテクノロジー企業さんとパートナーになれましたので、
今後もぜひ伴走していただき、事業を共創したいですね。
アステックペイントも、Fusicも、
福岡から日本そして世界をリードしていく存在になっていければと思っています。